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学校

「疑い」の段階で、学校には調査義務があります

いじめ防止対策推進法が定める学校の義務、重大事態の要件、そして保護者が申し立てたときに何が動くのか。

保護者が知るのは、たいてい遅れます。

子どもは自分から話しません。話せばもっとひどくなるかもしれない、親が学校に乗り込むかもしれない、あるいは自分が悪いのではないか——そう思うからです。

気づいたときには、すでにかなり進んでいることが多い。

流れを先に知っておくと、その時点で足元がぶれません。

法律上の「いじめ」は、思っているより広い

まずここが出発点になります。

いじめ防止対策推進法第2条第1項の定義は、対象となった児童等が心身の苦痛を感じているものです。判断の基準が加害の程度ではなく、被害を受けた側の苦痛に置かれています。

そのため次のことが言えます。

  • 暴力だけでなく、無視・悪口・SNS上の嫌がらせも含まれる
  • 一対一でも該当しうる
  • 比較的軽微に見えるものでも該当しうる
  • インターネットを通じて行われるものも明文で含まれる

定義を広くとってあるのは、重大な事態になる前に早い段階で対応できるようにするためです。「これくらいでは、いじめとは言えないのでは」と保護者が先に判断してしまう必要はありません。

「疑い」の段階で調査義務が生じます

ここが実務上いちばん効く条文です。

同法第23条第2項により、学校はいじめの疑いがあると認めた場合、速やかに事実確認を行う義務があります。いじめかどうか分からない段階でも、調査を開始しなければなりません。

つまり、正式な申立てや証拠の提出が調査開始の条件ではありません。学校が知ることが条件です。

そして文部科学省のガイドラインでは、詳細な調査を実施していない段階で「いじめはなかった」などと断定的に説明してはならないとされています。

だから、伝え方は書面が確実です

学校に知らせる方法は口頭でも構いませんが、記録に残る形にしておくと後が違います。

日付と状況を書いたメールや連絡帳が、学校の義務が発生した日を同時に記録します。電話で伝えた場合も、その内容をあとからメッセージで要約して送っておくと同じ効果になります。

重大事態という区分

同法第28条第1項は、次のいずれかを重大事態としています。

  • いじめにより生命、心身または財産に重大な被害が生じた疑いがあると認めるとき
  • いじめにより相当の期間学校を欠席することを余儀なくされている疑いがあると認めるとき

「疑い」の段階で該当します。 事実関係が確定した段階を重大事態と呼ぶのではない、とガイドラインが明記しています。

重大事態と認められると、学校は調査、被害児童・生徒と保護者への報告、対処および再発防止のための措置を行う義務を負います(同法第28条~第32条)。2023年4月1日からは文部科学省への報告も求められています。

そして保護者にとって重要なのがここです。 文部科学省の基本方針は、児童・生徒や保護者からいじめにより重大な被害が生じたとの申立てがあったときは、学校や教育委員会は重大事態が発生したものとして報告・調査等に当たるとしています。

学校が「様子を見ましょう」で止めようとする場合、この枠組みを知っているかどうかで対応が変わります。

調査で必要になるもの

学校は事実関係を確認して記録します。保護者の側で必要なのは、いつ何があったかを示せるものです。

  • 日付を入れたメモ — 子どもが話した内容をその日のうちに書いておく。いちばん役に立つのに、いちばん行われていない
  • メッセージやSNSの画面 — 消される前に保存
  • 診断書 — 身体的・精神的な被害がある場合
  • 学校とのやり取り — 伝えた日付を含めて
  • その場にいた子 — 誰がいたかを控えておくだけでも違う

ここで保護者が直面する困りごとは、たいてい同じです。子どもが、いつ何があったのかを正確に言えません。 つらい時期を過ごしているあいだは日付の感覚が曖昧になりますし、話すこと自体が負担になるので、なおさらです。

子どもと一緒に決めておく方法

TalkSafeをこうした場面で使う方法があります。

あらかじめいくつか言葉を決めておくと、それが聞こえたときに録音が始まります。画面がロックされたままでも始まるので、子どもが何かを操作する必要はありません。かばんの中で構いません。

そして決めておく言葉は、子ども自身が言う言葉である必要がありません。 その場面で相手が口にしそうな言葉を登録しておけばよいのです。萎縮している子どもが何かを言ったり端末を取り出したりするのは現実には難しいので、この違いがここでは効いてきます。

必ず子どもと一緒に決めてください。 内緒で入れておく道具ではありません。このアプリは録音中に通知が表示され続け、それを消せないので、そもそも隠して使えない作りになっています。子どもが知っていれば自分で頼ることもできますし、何より親が味方だと分かっていることのほうが記録より先です。

学校のきまりも確認してください。 授業中の端末の使用や持ち込みを制限している学校があります。

加害側とされた場合

反対の立場になることもあります。

事実と違う形で名前が挙がることもあれば、実際にあったことが伝わるうちに大きくなっていることもあります。子ども同士のいざこざは双方に非がある場合も少なくありません。

この場合も手続きは同じです。学校には事実確認の義務があり、法は加害児童・生徒への指導とその保護者への助言を定めていますが(第23条第3項、第26条)、一方的に処罰することが目的ではなく、行為の重大性を理解させて再発を防ぐことが重視されています。

ですから必要なものも同じです。そのとき実際に何があったかを示せるもの。 記録がなければ双方の言い分だけが残り、そのときどちらが不利になるかは決まっていません。

ひとつ注意があります。この段階で被害側の家庭に直接連絡して謝罪や解決を求めることは、かえって圧力や二次被害と受け取られることがあります。 手続きの中で進めるほうが安全です。

相談できるところ

ひとりで判断しないでください。

  • 24時間子供SOSダイヤル — 0120-0-78310(なやみいおう)。24時間・年中無休、通話料無料。かけた所在地の教育委員会の相談機関につながります
  • こどもの人権110番 — 0120-007-110(法務省)。平日8:30~17:15。いじめや体罰などの人権問題について、子ども本人でも周囲の大人でも相談できます
  • チャイルドライン — 0120-99-7777。毎日16:00~21:00。子どもが自分でかけやすい窓口です

最後に

記録は手続きのために要るもので、それ自体が目的ではありません。

子どもにいま必要なのは資料を集めることではなく、大人が自分の味方だという確認です。それが先にあって、記録はその後です。

法律上、いじめとはどこまでを指しますか

いじめ防止対策推進法第2条第1項は、一定の人的関係にある他の児童等が行う心理的または物理的な影響を与える行為であって、その対象となった児童等が心身の苦痛を感じているものと定義しています。インターネットを通じて行われるものも含まれ、暴力に限らず無視や悪口、SNS上の嫌がらせも対象です。一対一でも、比較的軽微に見えるものでも該当しえます。

学校はいつから調査しなければならないのですか

同法第23条第2項により、いじめの疑いがあると認めた場合には速やかに事実確認を行う義務があります。いじめかどうか分からない段階でも調査を開始する必要があり、正式な申立ての有無は要件ではありません。

重大事態とは何ですか

同法第28条第1項が定める区分で、いじめにより生命・心身または財産に重大な被害が生じた疑いがあると認めるとき、またはいじめにより相当の期間学校を欠席することを余儀なくされている疑いがあると認めるときを指します。事実関係が確定した段階ではなく、疑いの段階で該当する点が重要です。

保護者が重大な被害を申し立てた場合はどうなりますか

文部科学省の「いじめの防止等のための基本的な方針」は、児童・生徒や保護者からいじめにより重大な被害が生じたとの申立てがあったときは、学校や教育委員会は重大事態が発生したものとして報告・調査等に当たるとしています。

加害側とされた場合の対応も定められていますか

同法第23条第3項および第26条により、学校は加害児童・生徒への指導やその保護者への助言などの措置をとることが義務付けられています。一方的に処罰することが目的ではなく、行為の重大性を理解させ再発を防ぐことが重視されています。

この記事は一般的な情報提供であり、法的助言ではありません。個別の事案については弁護士にご相談ください。

法律上、いじめとはどこまでを指しますか

いじめ防止対策推進法第2条第1項は、一定の人的関係にある他の児童等が行う心理的または物理的な影響を与える行為であって、その対象となった児童等が心身の苦痛を感じているものと定義しています。インターネットを通じて行われるものも含まれ、暴力に限らず無視や悪口、SNS上の嫌がらせも対象です。一対一でも、比較的軽微に見えるものでも該当しえます。

学校はいつから調査しなければならないのですか

同法第23条第2項により、いじめの疑いがあると認めた場合には速やかに事実確認を行う義務があります。いじめかどうか分からない段階でも調査を開始する必要があり、正式な申立ての有無は要件ではありません。

重大事態とは何ですか

同法第28条第1項が定める区分で、いじめにより生命・心身または財産に重大な被害が生じた疑いがあると認めるとき、またはいじめにより相当の期間学校を欠席することを余儀なくされている疑いがあると認めるときを指します。事実関係が確定した段階ではなく、疑いの段階で該当する点が重要です。

保護者が重大な被害を申し立てた場合はどうなりますか

文部科学省の「いじめの防止等のための基本的な方針」は、児童・生徒や保護者からいじめにより重大な被害が生じたとの申立てがあったときは、学校や教育委員会は重大事態が発生したものとして報告・調査等に当たるとしています。

加害側とされた場合の対応も定められていますか

同法第23条第3項および第26条により、学校は加害児童・生徒への指導やその保護者への助言などの措置をとることが義務付けられています。一方的に処罰することが目的ではなく、行為の重大性を理解させ再発を防ぐことが重視されています。