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不動産

内見で仲介業者が言ったこと、あとで証明できますか

「雨漏りはないですよ」は内見しながら口頭で出てきて、書面にはその一部しか残りません。16か国が仲介業者の説明義務をどう定め、聞いた話と違ったときに何ができるかを比べました。

内見に行きました。天井を見上げると、しみのようなものがあります。

「それは前の内装工事のときのものです。雨漏りはないですよ」

入居して最初の大雨で、天井から水が落ちてきます。重要事項説明書を読み返しても、雨漏りのことはどこにも書かれていません。

説明は内見しながら口頭で出てきます。書面に残るのは、その一部だけです。

16か国の仲介業者の説明義務

国 説明・告知義務の根拠 書面に残るもの 違反したとき
日本 宅建業法35条。宅建士が契約前に重要事項を説明 重要事項説明書(宅建士が記名) 故意の不告知・不実告知は3年以下の拘禁刑・300万円以下の罰金(47条)
韓国 公認仲介士法25条。状態・立地・権利関係・設備の状態などを確認・説明 確認・説明書の交付 故意・過失による損害の賠償(30条)、保証・共済加入義務
アメリカ(カリフォルニア州) 民法2079条。仲介業者が目視で合理的に点検し、価値に影響する事実を告知 売主の告知書(1102条)と仲介業者の点検内容 告知書の受領後3日以内なら解除できる
イギリス(イングランド・ウェールズ) 2024年デジタル市場・競争・消費者法(2025年4月施行)。重要情報の省略は不公正な慣行 — 競争・市場庁が直接制裁
カナダ(オンタリオ州) 不動産サービス信頼法(2023年12月施行)。売主が告知すべき事実を知っていれば全買主候補に告知 「DISCLOSURE」と太字で示した書面 監督機関の懲戒
オーストラリア(ニューサウスウェールズ州) 不動産代理業規則2022の60条。定められた重要事実(5年以内の洪水・山火事、重大な安全リスク等) — 不実表示として制裁
ニュージーランド 行動・顧客保護規則2012の10.7条。隠れた欠陥を知っている、または知るべきなら告知 — 懲戒。隠すよう指示する依頼者の代理はやめる
インド 不動産規制法(RERA)10条。口頭・書面・視覚的表示による虚偽の禁止 予約時に受け取る権利のある書類の提供 違反1日あたり1万ルピー
スペイン 1989年勅令515号。広告・情報は実際の特性と一致すること 住宅賃貸の仲介手数料は貸主負担(2023年) 消費者保護上の制裁
メキシコ NOM-247-SE-2021(2022年9月施行)。情報は真実・検証可能・明確であること 契約書を連邦消費者保護庁に登録 連邦消費者保護庁の制裁
チリ 消費者保護法19.496号を適用 — 仲介業者専門の監督機関はない
アルゼンチン 民商法典1347条。知っている事情はすべて告知、不正確な想定を述べない — 民事責任
イタリア 民法1759条。取引の評価と安全に関して知っている事情を告知 — 損害賠償
ドイツ 仲介契約上の付随義務(民法241条2項)。受け取った情報を伝える エネルギー証明書を遅くとも内見時に提示 損害賠償(280条)、エネルギー証明違反は最大1万ユーロの過料
フランス オゲ法(1970年)。仲介業者の情報提供・助言義務 技術診断書類を売買の予約契約に添付 民事責任
ブラジル 民法723条。取引の安全・リスクについてすべて説明 — 損害賠償

調べた国だけを入れています。アイルランドは確認できていないため外しました。アメリカ・カナダ・オーストラリアは州ごとに制度が違うため、代表的な州を載せています。この記事からドイツ・フランス・ブラジルも調査に加えました。

どの国も仲介業者に知っている事実を伝える義務を課しています。ただ、書面に残るのは決まった様式の項目だけで、内見しながら交わされた言葉は、ほとんどどこにも残りません。

日本:故意の不告知には刑事罰まで

宅地建物取引業者は、契約が成立するまでの間に、宅地建物取引士をして重要事項を記載した書面を交付して説明させなければなりません(宅地建物取引業法35条)。重要事項説明書には宅建士が記名します。雨漏りやシロアリ被害、基礎の腐食などの既知の欠陥も重要事項に含まれます。

そして、重要事項について故意に事実を告げず、または不実のことを告げる行為は禁止されています(47条)。違反すると3年以下の拘禁刑もしくは300万円以下の罰金、またはその併科です。

民事では、購入するかどうかや売買金額の判断に影響する重要な事実について説明がなく損害を受けた場合、仲介業者に損害賠償を請求できる場合があります。雨漏りが重大な不具合だと知りながら、止まっていないことを意図的に隠したとして責任が認められた裁判例もあります。

争いになるのは多くの場合ここです。「今は大丈夫ですよ」と言われたかどうか、それが本当だったかどうか。 そしてその言葉は、重要事項説明書の項目ではなく、内見しながら口頭で出てきます。

韓国:設備の状態まで説明する義務

韓国は公認仲介士法25条で、仲介士に物件の状態・立地・権利関係に加え、水道・電気・ガス・排水などの設備の状態、壁面や壁紙の状態、日照・騒音などの環境条件まで確認し、根拠資料を示して説明させます。契約書を作成するときには確認・説明事項を書面で交付し、故意・過失で損害を与えれば賠償責任を負います。ただ、過去の雨漏りでも修理済みで現在の使用に支障がなければ説明義務の対象外とした判断もあります。

英語圏:自分の目で見る義務、項目を決めた一覧

カリフォルニア州は、売主側の仲介業者に物件を目視で合理的かつ誠実に点検させ、価値や望ましさに重大な影響を与える事実を買主候補に伝えさせます(民法2079条)。売主は告知書を渡さなければならず(1102条)、買主は受け取ってから3日以内に解除できます。

イギリスは2025年4月6日から、2024年デジタル市場・競争・消費者法のもとで重要な情報を省くこと自体が不公正な商慣行になり、競争・市場庁が裁判所を通さず制裁できます。

オンタリオ州は2023年12月1日施行の不動産サービス信頼法で、売主に告知義務がある事実を売主側の仲介業者が知っていれば、すべての買主候補に書面で伝えさせます。ニューサウスウェールズ州は5年以内の洪水・山火事被害などの重要事実を一覧で定め、ニュージーランドは隠れた欠陥を知っている、または知るべき場合の告知を求めています。インドは仲介業者が口頭・書面・視覚的表示で虚偽を述べることを禁じています。

ヨーロッパと中南米:民法に書かれた告知義務

イタリア(民法1759条)、アルゼンチン(民商法典1347条)、ブラジル(民法723条)は、仲介業者が知っている事情を伝える義務を民法に書いています。ドイツは仲介契約上の付随義務として受け取った情報を伝えさせ、エネルギー証明書を遅くとも内見時に示させます。フランスは1970年のオゲ法のもとで情報提供と助言の義務を課し、売買では技術診断書類を予約契約に添付させます。

スペインは住宅の広告や情報が実際の特性と一致することを求め、2023年からは住宅賃貸の仲介手数料を貸主が負担します。メキシコは情報が真実・検証可能・明確であることを求め、チリは消費者保護法を適用しますが、仲介業者専門の監督機関はありません。

結局必要なのは「そのとき何と言われたか」です

16か国すべてが仲介業者に説明・告知義務を課しています。それでも争いになると、論点はほぼ同じところに集まります。その説明を聞いたか、何と言われたか。

現実的な方法は三つです。

物件広告と重要事項説明書を保存しておきます。 広告は契約が終われば消えます。画面を保存し、受け取った書類はすべて残します。

内見の日のうちにメールで確認しておきます。「本日、天井のしみは以前の内装工事のもので雨漏りではないと伺いましたので、確認のためご連絡します」。返信がなくても、その日そう聞いたという記録が残ります。

自分が参加した内見の会話を録音しておきます。 日本には自分が参加している会話の録音を処罰する法律はありません(日本には「盗聴罪」がありません)。ただ、内見で「録音してもいいですか」とは言い出しにくく、説明は部屋を移りながら短く出てきます。

TalkSafeは、あらかじめ決めた言葉が聞こえると録音を始めるAndroidの録音アプリです。キーワードは話す人に関係なく認識されるため、「雨漏り」「管理費」「駐車場」のように説明で出てきそうな言葉を決めておくことができ、画面がロックされた状態でも動作します。録音が始まる前の30秒もあわせて保存されるので、その言葉が出る直前の説明もファイルに入ります。

賃貸の退去時に問題になりやすい場面は退去の立会いで、その場でサインを求められたらに、口頭の約束と契約書がぶつかる問題は契約書にはない。打ち合わせで口頭で決めたことにまとめています。

まとめ

  • 日本では宅建士が契約前に重要事項を書面で説明し、故意の不告知や不実告知には刑事罰があります。
  • 16か国すべてが仲介業者に説明・告知義務を課しています。
  • カリフォルニア州は仲介業者に目視での点検を求め、イギリスは重要情報の省略そのものを不公正な慣行としています。
  • それでも、内見しながら交わされた言葉は書面に残りません。
  • 広告と書類を保存し、その日のうちにメールで確認し、自分が参加した内見の会話を録音しておきます。

この記事は一般的な情報であり、法的助言ではありません。個別の事案は弁護士にご相談ください。

仲介業者は契約前に何を説明しなければなりませんか。

宅地建物取引業法35条により、宅地建物取引業者は契約が成立するまでの間に、宅地建物取引士をして、重要事項を記載した書面を交付して説明させなければなりません。重要事項説明書には宅地建物取引士が記名します。

仲介業者が事実を隠したり、うそを言ったりしたらどうなりますか。

宅地建物取引業法47条は、重要事項について故意に事実を告げず、または不実のことを告げる行為を禁止しています。これに違反すると、3年以下の拘禁刑もしくは300万円以下の罰金に処せられ、またはこれを併科されます。

雨漏りについて説明がなかった場合、損害賠償を請求できますか。

購入するかどうかや売買金額の判断に影響する重要な事実について説明がなく、そのために損害を受けた場合には、仲介業者に損害賠償を請求できる場合があります。雨漏りが重大な不具合であると知りながら、止まっていないことを意図的に隠したとして責任が認められた裁判例もあります。

内見で口頭で聞いた説明が重要事項説明書にない場合はどうすればよいですか。

口頭の説明は書面に残らないため、その説明を聞いたことを示す材料が必要です。内見の日のうちに「本日、天井のしみは雨漏りではないと伺いましたので確認のためご連絡します」のようにメールで送っておくか、自分が参加した内見の会話を録音しておくと、何を聞いたかを示せます。

ほかの国の仲介業者も欠陥を伝える義務がありますか。

多くの国にありますが、形は違います。アメリカのカリフォルニア州は仲介業者に物件を目視で合理的に点検し、価値に重大な影響を与える事実を伝える義務を課しています(民法2079条)。韓国は設備の状態まで確認・説明し、確認・説明書を交付する義務があり、イタリア・アルゼンチン・ブラジルは民法に仲介業者の告知義務を定めています。

内見の会話を相手に言わずに録音してもよいですか。

日本には自分が参加している会話の録音を処罰する法律はありません。問題になるのは、録音した内容を無断で公開・拡散した場合で、プライバシー侵害や名誉毀損になり得ます。

TalkSafeで内見の説明をどう残すのですか。

TalkSafeは、あらかじめ決めた言葉が聞こえると録音を始めるAndroidの録音アプリです。キーワードは話す人に関係なく認識されるため、「雨漏り」「管理費」「駐車場」のように説明で出てきそうな言葉を決めておくことができ、画面がロックされた状態でも動作し、録音開始前の30秒もあわせて保存されます。